この記事の要約
良い睡眠のためには「日中は日光を浴びて、散歩か筋トレ、運動を組み合わせて肉体的疲労をほどよく溜める。
寝る2時間前には活動を終え、電気を消して湯船に浸かり、その後は部屋の電気を消してランタンの灯りだけで過ごす。」
前提知識
私が日々考え続けていることは 「現代社会に生きながら、いかに原始時代の生き方を取り入れるか」 です。
人類史700万年を俯瞰してみると、約1万年前の農業革命、約300年前の産業革命、ここ数十年の情報革命を経て、人間の生活に信じられないくらい劇的な変化が起こっています。しかし、私たちホモ・サピエンスの遺伝子はそれほど急に適応はできません。
そんな中で何を指針に生きれば良いか?
一つの大きな指針は「一万年以上前から存在するものは『人間に適応的』である」という判断基準です。
なにも、便利な科学技術を一切捨て去って、森の中で暮らそうと言いたいわけではありません。現代の狩猟採集社会の調査によれば、現代人よりも彼らの方が健康で幸福度も高いことが示唆されていますが、その部分を切り取って賛美するのも浅はかです。
狩猟採集民の死亡原因に占める「戦争・紛争」の割合は非常に高く、他にもカニバリズム(食人)、赤ん坊や未亡人を殺す風習など、我々から見ると不合理で倫理観に欠ける習慣が存在するのも事実です。(この辺りの話はジャレド・ダイアモンド氏の著作(※1)や『サピエンス全史』を参照。)
これらを踏まえて、「現代社会と原始社会の「良いとこ取り」が現実的な折衷案である」という結論に至ります。
「引き算」の考え方
問題を解決しようとするとき、物を買って、食べて、と積極的に介入するのではなく、本来必要ない、悪影響を及ぼす要素を排除することに注力することです。悩んだり、病院に行くのはそれでもダメな場合でしょう。これで解決できるならばそれは問題のようで問題ではありません。
体調が悪いなら、まずはよく寝る。
例えば、食事の場合、「〇〇が身体に良い」という情報に唆されて積極的に何かを「足して」つまり食べて治そうとするのではなく、100年、1000年単位で昔から存在している食材を選び、ファストフードやインスタント食品のような現代性の産物を「引く」排除することを徹底することです。
覚えておいて損のないヒューリスティック(経験則)として、「〇〇という成分が身体に良い」と、それっぽい理屈で喧伝するような商品は大抵食べないほうがマシです。野菜や魚は、わざわざ体に良いと宣伝する必要なく売れますよね。
一般化すれば、新しいものや技術に対して保守的になることに説明は必要ないが、容認して取り入れるには(安全性に対して)説明責任が伴う。この辺りの考え方はナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)氏の影響を受けています。(※2)
結論:暗い照明、風呂に浸かる、肉体疲労。
昼は明るく、夜は暗い。
人類史を振り返ると、日が落ちたあとは月明かりと、せいぜい火の灯りがある程度というのが常でした。
眩しい照明を夜遅くまで浴びるようになるのはごく最近の話です。白熱電球の一般家庭への普及はここ100年の出来事です。
必要な要素を抜き出して考えると、「朝や日中に日光を浴び、日没後は暗い中で過ごす」ということになります。
これを現代人の生活にすり合わせていき、妥協するならば、
「朝に15分程度日光を浴びて、寝る2時間前には照明を落としてスマホやPCを終える」
というところになるでしょう。(なぜ2時間前なのかは後に続きます。)
生化学に言えば、日光を浴びることでセロトニンが生成され、それが夜になってメラトニンに変換される、ということになるようです。
風呂場の電気を消して、湯船に浸かる
寝る2時間前に頭と体を使う活動は終えます。「このあとはもう寝るだけ」という状態に持っていきます。
風呂に入るときに強くお勧めするのが、「電気を消すこと」です。
実際にやっていただければわかりますが、脱衣所の電気だけで十分明るく困りません。刺激が少なくリラックスできる丁度いい暗さになります。
近年話題になった睡眠に関する研究の本(※3)によると、風呂で上がった体温が下がったタイミングで眠りにつきやすく、その時間が1〜2時間だとか。時間の目安があった方がスケジュールを管理しやすいですし、利用することにしましょう。
(この方法の弱点は、家族で暮らしている場合に「風呂の時間がかぶってしまう」「好きな時間に入れない」ということかと思います。)
一人暮らしであれば、
「1日の活動終了 → 風呂に入る → 電気を消して過ごす → 就寝」
という流れができ、2時間前に風呂に入ることが区切りとなってルーティン化が簡単です。
真っ暗な部屋ではランタンの灯だけ
部屋の電気だけでは、「点けると明るすぎ、消すと何も見えない」という状態になってしまい、結局電気をつけざるを得なくなります。
そこで活躍するのが「ランタン」です。
ランタンを一つ持っておくと手元を照らすのに必要最低限の暖色の光が得られます。
寝る前の読書には最適です。トイレへ行くにもランタンを持っていけば、電気をつけて「眩しい!」とならなくて済みます。
私の寝る前の習慣は、日記を書く、読書をする、ラジオを聴くなど。とはいえ、眠くなってさっさと眠ってしまうことの方が多いです。
ランタンのおすすめは圧倒的に「バルミューダ ザ・ランタン」です。
値段が張るので買うまでやや躊躇しましたが、他の製品に比べて圧倒的に「デザイン」が良い」
部屋に置いてあっても、オシャレで全く違和感がありません。明るさも無段階調整で使いやすいです。
他のランタンを検討するなら、「持ち運ぶ取っ手がある」「充電式」の条件に当てはまるものが便利でしょう。
結局、身体が疲れていないと眠れない
睡眠に関してはメンタルや食事など考えられる要素は多々ありますが、多くの人に共通し再現性のある要素に着目して紹介をしています。
私の場合、一日座ってひたすらデスクワークをするだけでは、いざ寝ようと思うと「疲れ」が感じられず、なかなか寝付けないことが多かったように思います。
私の経験上、ほどよく肉体的疲労を溜めるには、歩くだけなら一日1万歩程度(距離で6~8km、約2時間)、あるいは筋トレなら合計20分程度で効果があるという印象です。
受験勉強時代、行き帰りの歩きと勉強の合間の散歩以外は運動を全くしていませんでしたが、問題なく睡眠が取れていたことから、頭脳労働だけで疲労を溜めるには7~8時間くらいは集中して頭を使う必要があると推察します。
現代人は往々にして運動不足かつ座りすぎの傾向が高いですから、休憩など外に出られるときは必ず散歩をするくらいで丁度良いくらいでしょう。狩猟採集民の運動量を調べた調査を見てみると、6~15km程度のデータが多いようです(民族・性別で差があります)。歩数に直すとおおよそ1万歩から2.5万歩(0.6m/歩で換算)になります。
(座りすぎ問題に関連して、私の愛用するスタンディングデスクについても記事にまとめたいと思っています。)
運動・筋トレに慣れていないスポーツ歴のない方は、まずは7000歩程度を「目指して」歩いてみるだけでも効果があると思います。
ラジオや好きな音楽を聴きながら歩くと、時間をムダにしている感覚も無いのでオススメです(車や自転車には十分注意してください)。
まとめ
「日中は日光を浴びて、散歩か筋トレ、運動を組み合わせて肉体的疲労をほどよく溜める。
寝る2時間前には活動を終え、電気を消して湯船に浸かり、その後は部屋の電気を消してランタンの灯りだけで過ごす。」
というのが私の結論です。なるべく万人に共通する要素を抽出して再現性のある内容になっていると思います。
他にオススメのグッズ
ホットアイマスク
スマホやPCが原因の眼精疲労に有効な対処法は、単純に「目を温める」ことだそうです。(※4)
使い捨てのアイマスクも売られていますが、毎日使うには値段が高く、経済的ではありません。
そこでオススメなのが「USB電熱式のホットアイマスク」です。スイッチを入れて30秒くらいで温まり、使い捨てのものよりしっかり熱くなるので非常に便利です。寝る前に使うととてもリラックスできます。
旅行にも必ず持っていくくらい私にとって欠かせないアイテムです。
補足:カフェインとアルコール
カフェインとアルコールも可能なら断つ方が良いでしょう。
私はコーヒーを1ヶ月間、毎日1〜2杯飲み続けたのち飲まなくなると、離脱症状で4日間頭痛が続いたことがあり、若干トラウマです。コーヒーの味自体は好きなので、今はカフェインレスコーヒーを豆から挽いてドリップして飲んでいます。
お酒は明らかに眠りが浅くなる悪影響を感じ、アルコールの味も好きではないので全く飲まなくなりました。
カフェインは覚醒作用が働かない人もいるようなので、この辺りは個人差があると思いますが、いずれも生活サイクルが乱れ、中毒性があるのは確かです。常用するのは長期的に見て良い習慣ではないでしょう。
「集中したい『ここぞ』というときにカフェインを使う」「特別なときにお酒を開ける」くらいに留めてはいかがでしょうか。
肝心なことは「自分自身の支配権(コントロール)」を失わないことだと私は思います。
この記事を読んでいただきありがとうございます。皆様の生活が少しでも良くなれば嬉しいです!
関連書籍
(※1)ジャレド・ダイアモンド(2013)『昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来』日本経済新聞出版
(※2)ナシーム・ニコラス・タレブ(2017)『反脆弱性[下]』ダイヤモンド社
(※3)西野精治(2017)『スタンフォード式 最高の睡眠』サンマーク出版
(※4)深作秀春(2018)『世界最高医が教える目がよくなる32の方法』ダイヤモンド社
コメント