【論文紹介】ウールは睡眠の質を上げるかも?という話 | エアコンを使わず快適に寝る方法 | Minimal Health

【論文紹介】ウールは睡眠の質を上げるかも?という話 | 寝具の繊維と睡眠の質の関係

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「寝具やパジャマの素材は、綿がいいのか?ポリエステルがいいのか?何が最適なのか?」

気になったので論文を検索して調べました。

大規模な研究はありませんでしたが小規模な研究は複数見つかりましたので、ブログにまとめました

参考になれば幸いです。

論文①:スリープウェア(服)と寝具の実験

The effects of fabric for sleepwear and bedding on sleep at ambient temperatures of 17°C and 22°C
→原文はこちら

調査方法

  • 健康な若年被験者17名(男性10名)を対象に、9日間の睡眠ポリグラフ検査を実施した。
  • 1. スリープウェア(綿とウール)
    2. 寝具(ポリエステルとウールの布団に綿100%のカバー)
    3. 温度(17℃と22℃、相対湿度60%)
    の3つの要素にそれぞれ無作為に割り付けられた。
  • 睡眠中は、皮膚温度と体温をモニターした。

結論

入眠までの時間(SOL)はウール素材で寝ると有意に短くなり、綿素材の寝具に比べて総睡眠時間と睡眠効率が増加する傾向が見られた。

また先行研究として、

寝具の生地の種類が睡眠に与える影響についての実用的な研究はほとんどないが、
ある研究では、ウールの下敷きの上で寝ると、コントロールのパッドと比較して、体動が有意に減少し、主観的な睡眠の質が高く、朝の気分が良いと報告されている。(参照

論文②:スリープウェア(服)の実験

The impact of sleepwear fiber type on sleep quality under warm ambient conditions
→原文はこちら

調査方法

  • ランダム化クロスオーバー試験で、50~70歳の成人を対象に、気温30℃、相対湿度50%の環境下で、綿、ポリエステル、メリノウールを使用したスリープウェアが睡眠の質に与える影響を調査した。
  • 36名の健康な参加者に、4泊分の睡眠調査を行った。
  • 参加者は、肥満度・年齢(65歳で分類)・眠り深さ(PSQI)で分類された。

※PSQI:ピッツバーグ睡眠品質指数

結論

ウール素材のスリープウェアは、全参加者の平均で統計的に有意な効果が認められ、
特に、高齢者や寝つきの悪い人に効果があった。

結果の詳細

1) 入眠までの時間(SOL)において、有意なスリープウェアによる効果が認められた。

2)高齢者の場合、ウール素材のスリープウェアは、綿素材(26.7分、p=0.001)やポリエステル素材(21.6分、p=0.001)と比較して、入眠までの時間を有意に減少させた(12.4分)。

ウール素材のスリープウェアが最も短く(16.0分)、次いでポリエステル素材(18.2分)、綿素材(18.5分)の順であったが、平均値に比べてSDの値が大きいため、各繊維タイプ間の差は統計的に有意ではなかった。

3)睡眠中の覚醒・動きの度合い(Sleep Fragmentation Index)では、
ウール素材の寝具(12.1h-1)は、ポリエステル素材(13.7 h-1)よりも低く(p=0.005)、綿素材(13.3 h-1)との差はありませんでした。

4)寝つきの悪い人は、綿に比べてウールで寝ると覚醒度が低い(p=0.047)。

5)ポリエステルの方が綿(p=0.037)とウール(p=0.036)よりもREM睡眠時間が長く、眠りの浅い人の睡眠時間が長いことがわかった。

考察

本研究で観察された睡眠結果の違いは、綿やポリエステルに比べてウールが持つ優れた水分緩衝性と水分調整機能が原因であることが示唆された。

入眠の開始は、深部体温の低下と,手足など末端の皮膚の上昇に伴う末梢血管拡張を介した熱放散に関係があることが知られている。したがって、熱放散速度が速い被験者は,より早く入眠すると予想される。

寝間着は、いくつかの重要な点で熱的快適性に影響を与える。 繊維の種類によって断熱性や吸湿性が異なるため、異なる種類の繊維で作られた生地は、断熱性に異なる影響を与える可能性がある。

綿やウールなどの天然繊維には吸湿性があり、大量の水分を吸収して移動させる性質がある。
ウールは一般的な繊維の中で最も吸湿性が高く、ポリエステルは最も吸湿性が低く、綿は中間的な吸湿性である。
乾燥したウール繊維は、飽和空気中で乾燥重量の約35%まで吸湿するが、綿は約24%、ポリエステルは1%以下である。

まとめ&私感

論文検索でヒットした2件の論文ともに「ウールが睡眠の質向上に寄与する」という結論。

しかし、綿など他の素材に比べて顕著な差があるというほどではなく、一応統計的に差があるという程度。

また、論文①の原文の結論にも示唆されているが、寝具の素材の最適性については、水分調整機能が重要で、季節によっても変動することが考えられる。

正直、睡眠の質に対して寝具の素材が占めるウェイトは大きくないと私は思う。
運動と健康的な食事をして、もう他に工夫することがないという状況で手をつける問題でしょう。

以前、私が書いた睡眠の質についての考察記事もよろしければご覧ください。

ネットでウールの寝具を検索したところ、服に関しては、綿+ウールのパジャマはあれど、ウール100%のものは見つからず。実験するとすれば、ユニクロのメリノウールのセーターなどを着てみることになるのかな?と。

ベットパッドなどの寝具で中綿がウール100%のものはたくさん見つかり、安くて約4,000円〜のようです。

洗濯可能(ウォッシャブル)かつ表面の生地が綿100%のものを選びました。
楽天の方がセール時のポイントを加味すると、相場が安めで種類が多い印象でした。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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私も機会があれば、ぜひウールの寝具を試してみたいと思います。

*追記:2021.12.18

最近ブログの収益から↑で紹介したウールのベッドパッドを購入させていただきましたので、近々レビューする予定です。まだ冬のみの使用なので年中使えるかは不明ですが、確実に言えることとしてはとにかく暖かい」です。

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