ケトジェニックになるまでの記録|体調・集中力・空腹感・眠気について| | Minimal Health

ケトジェニックになるまでの記録|体調・集中力・空腹感・眠気について|

ケトン食 日記 糖質制限 体調  健康

この記事では、筆者がケトジェニックに移行するまでの体調変化の記録を紹介します。

適切な食事や摂取量、その影響には個人差がありますので必ず医師の著書を参照いただき、あくまで一個人の実験結果であることを承知の上、個人の責任で行っていただきますようお願い致します。

ケトジェニックを試した経緯

以前のグルテンフリーの是非について考察した記事で以下のように書きました。

結論としては、糖質摂取を極限まで抑える(一般的に)’極端’な食事は、人類史の観点からは問題ない。

https://bio-stoic.com/wheat/

書くからには立証する必要があると思い、自分の身体で人体実験してみました。

※世間では糖質制限ダイエットのさらに厳しいダイエット法として認識されていますが、私は痩せ型なのでダイエットが目的ではなく、「本当に糖質を摂取せずに体調を保てるのか?」という探究心に基づいています。

ケトジェニック(ケトン食)とは

ケトジェニックは「(ブドウ糖をエネルギー源とする)糖代謝から、(β-ヒドロキシ酪酸などケトン体をエネルギー源とする)脂肪酸代謝をメインに切り替えて生きよう」というもの。

→ つまりは糖質摂取を抑えて代謝のエンジンを切り替え、脂肪をエネルギー源にすること。

ケトジェニックは、糖質摂取が天然の果物くらいしかなかった農業以前の狩猟採集生活においては、むしろ自然な食事法であると言われており、

メリットとして、お腹が空きにくくなる・眠くならなくなる・集中力が続くなどが挙げられています。

※実際、生化学的に、脂肪は糖質の2〜2.5倍エネルギー効率が良いです。

結論

糖質30g以下/日のケトン食でも、数日間の過渡期を乗り越えると体調に問題なく生活できる。

しかし、特段、お腹が空かなくなる・眠くなりにくい・集中力が良くなるという改善は実感しなかった。この点は私が日頃から低糖質の食事を心がけているため、もともと基準が高かった可能性が高い)

→ 眠気や空腹感に関しては、普段から糖質を大量に摂る生活をしている方には、インスリンショックがなくなることで改善する可能性が高いです。

ケトン食の記録

ケトン体を検出するキットなども売られているのですが、ケトン体が出ているかどうかよりも、私にとっては主観的な体調の良さが重要なので使用しませんでした。

筆者の生活スタイル(執筆当時)

・もともと低糖質の食事は心がけており、糖質80〜150g程度/日

・一日一万歩相当の運動量を維持。ウォーキングに加えて室内で計10分程度の筋トレ、週2回程度の全身運動

体重・体脂肪率の推移・糖質摂取量

身長173cmで体重・体脂肪率は66kg台・10%前後からほとんど変化なし。

体重がガクッと下がっていないのは、もともと低糖質の食生活なので貯蔵されたグリコーゲンがあまり無かったためかと思います。

ダイエットが目的ではないので、むしろ筋肉が減っていないとすれば好ましい。

ケトジェニック 体重・体脂肪率推移グラフ
ケトジェニック 糖質摂取量グラフ

1日目は意図せずオーバーしてしまったのですが、その後1週間は30g以下/日を維持しています。

ブログ記事の下部で実際に食べた食事を紹介しています。

ケトジェニック移行中の体調

6/9 1日目
△体調が悪いというほどでもないが、集中力に欠ける

6/10 2日目
×食後すぐに空腹感に襲われる違和感
 →今までなかった症状なので確実にケトン食の影響と思われる。
◯いつも通りウォーキング一万歩と自重の筋トレをしたが、多少の枯渇感を感じるかな?というくらいで出来ないことはない

6/11 3日目
△読書など作業の集中力にやや欠けるか?
△普段のウォーキングにややキツさ、エネルギーの枯渇感のようなものを感じる

6/12 4日目
×空腹感が大きい
△歩き疲れ、筋トレの回数が普段より少ない

6/13 5日目
△一時的に倦怠感があったりもしたが、時間が立つと治る

6/14 6日目
◎体調が安定してきた。軽く運動したが案外動ける
△筋トレやウォーキングの疲労感が残りやすい

6/15 7日目
◎体調安定
◎ブログ執筆に集中できた
△筋トレは普段よりキツいか(?)

その後数日
◯空腹感を感じる頻度は少なくなった
◎体調は安定していて集中力もある
◯糖質に対する積極的な食欲がなくなる

< まとめ >

集中力

はじめの数日、やや悪化したが、何も手に付かないほど酷くはない
→様々な要素があるので因果関係を特定するのは難しい(睡眠や精神、モチベーションなど)

△集中できる時はできるが、全体的には頭がボーッとする、枯渇感のある頻度が増えた

眠気

×眠気が全くなくなるということはない
→睡眠が足りていなければ普通に眠くなる
→昼寝の回数は普段より増えた(糖質量の制限しすぎか?)

◎血糖値の上下はないので食後に眠くなることはない

空腹感

食後の異常な空腹感がはじめの数日あった → 1週間後には無くなった
→むしろ軽い糖質制限(120g/日)のときの方が空腹感は起こりにくかった

糖質を摂りたいと思わなくなる

疲労感

ウォーキングや筋トレの疲労が残りやすく感じた
→タンパク質摂取は足りているはずなので、代謝関係が原因か。短期か長期的な問題かは要検証。

そのほか

便が固くなる
→これがひどくなると便秘につながるのだと思う
穀物や芋類の代わりに肉魚タンパク質をメインに摂取するので気を付けないと食物繊維が不足しがちになる
→意識的に野菜を大量に食べれば改善するかもしれない

オススメ食品

糖質を断つとなるとタンパク質脂質からカロリー摂取をすることになるわけですが、肉魚をたくさん食べるのはなかなか難しいので良質な脂質を摂れる食品を紹介。

ココナッツオイル

ココナッツオイルに主に含まれる脂質は中鎖脂肪酸のため吸収が早く(3時間程度)、中性脂肪になりにくいという性質があります。

ケトン食には必須の食品と言って良いでしょう。コーヒーココアなど温かい飲み物に入れたり、純ココアと混ぜて自家製のチョコレートを作るレシピ(YouTube)もあるようです。

評価が良くエクストラヴァージンのこちらがオススメ。

※MCTオイルというものもありますが割高ですし、ココナッツオイルの方が安価で原材料が明確で安心だと個人的には思います。

美味しいミックスナッツ

ナッツも良質な脂質はもちろん、食物繊維微量栄養素が摂れる非常に優秀な食べ物。

ナッツもたくさん商品がありますが、たくさん食べた中で自信を持ってオススメできるのがこちら小島屋の無塩・無油の素焼きミックスナッツ。ナッツの種類ごと個別に直火焙煎をしているこだわりの品。

一口食べれば明らかな質の違いがわかると思います。マカダミアナッツが入っているのもポイントが高い。

貰ったりもしているので実際もっと食べてる。

結論と考察

ケトン食開始から1週間と数日経過した執筆時には、ケトン体回路に完全に切り替わり体調も安定しています。糖質に対する積極的な欲求もなくなり、長期的にも続けられると感じています。

適切な1日の糖質摂取量について

私は十分にタンパク質と脂質は摂取していたつもりでしたが、体力の枯渇感を感じたり集中力を欠く期間が長かったので、糖質30g/日は少なすぎたかもしれません。

 糖質制限食の第一人者である医師の江部康二氏によれば、

ケトン体を効率よくエネルギー源にできる体質になるのなら、(中略)私の推奨するスーパー糖質制限食で十分です。

https://toyokeizai.net/articles/-/185139?page=3

スーパー糖質制限食の定義は糖質30〜60g/日。この数字の幅が、基礎代謝の低い女性から高い男性までを想定しているなら、私は運動量が多めなので糖質60g/日でもケトン体回路にするには十分で、体調に影響せずケトジェニックに移行できたかもしれません。

基礎代謝の高い人ならば、ほどほど(糖質60g/日)にした方が体調が安定する可能性がある。

 加えて、糖質量を制限しすぎると、根菜以外の野菜にも含まれる少量の糖でもオーバーしてしまう問題が出てきます。これは野菜摂取を減らしてしまう懸念がありデメリットが大きいです。根菜以外の野菜に関しては、肉・魚が多くなって乱れがちな腸内細菌のバランスを整えるためにも食物繊維は積極的に摂取するべき。便秘対策にも。

集中力について

作業や勉強、読書などの集中力を高めるには運動が非常に有効なので、その運動分の糖質は摂った方が良いだろう。もちろんケトン食の範囲で

→ 極端に糖質量を抑えるよりも、少量の糖質摂取と運動を組み合わせた方が、体調も安定し集中力も向上し、全体的な生活の質は上がる。

体調は食べるものだけで決まるわけではなく、精神状態にも大いに作用されます。糖質許容量を増やし好きなものを食べてストレス管理をするというような総合的な視点も必要でしょう

余談:「ケトジェニックと無酸素運動の両立について」

(※追記)後日、海外の論文を調べてみました。ご参照ください↓

 今後は60g/日まで許容量を増やしてケトン食を続け、私にとっての大きな関心事:ケトジェニックで無酸素の全身運動を行っても大丈夫なのか?」を検証する予定です。

(2021.06.27追記)※自分の身体で実験・検証する予定でしたが、直近の緊急事態宣言につき運動頻度が低下して体力が落ちてしまっている為、この状態では「食事」という要素だけを抽出して検証することが難しいことに気が付きました。そのため普通の糖質ありの食事で一度体力を元の水準まで戻してから行うことにしました。上手くいけば今年中には再開できる予定です。

 私の身体で、軽い30分程度の無酸素運動であれば全く問題ないことは確認済みです。しかし、長時間に渡る全力疾走など激しい無酸素運動については検証の必要があります。

一般的に、有酸素(脂肪酸代謝)優位の持久系のスポーツにはケトン食は有効であると言われていますが、「無酸素(糖代謝)優位の瞬発系のスポーツやウェイトトレーニングにケトン食で適応できるのか?」についてはデータが乏しいです。

 実は、以前にケトジェニックに移行する事なく数週間低糖質の食事で運動をしたことがあり、最大出力でややパフォーマンスの低下を感じました。

しかし、ケトジェニックに移行した状態で、運動するごとに少量の糖質を摂取すれば、「日常ではケトン体、運動時には糖代謝」という切り替えでうまく順応できる可能性があるのではないかと考えています。

 糖質食・ケトン食にかかわらず、ATP-CP系の回路によって、約8秒以内の最大出力の無酸素運動には耐えられる可能性が高いです。その後は一般的に解糖系が亢進します。このフェーズに対応できるかどうかが懸念点ということです。

エネルギー供給系と持続時間(引用元

 江部康二氏のブログによれば「低〜中強度の運動にはケトン食のパフォーマンスが優位になるが、最大強度の無酸素運動の場合は逆転してケトン食は不利になる」ことが示唆される研究があります。

これが真実であれば、ケトン食がホモ・サピエンス本来のスタイルに近いことを考慮すると、人間の身体は一定時間に渡る最大強度の運動に対して適応していないという結論に達してしまいます。

つまり、瞬発系を伴うスポーツは’’自然な’’行動ではないことになってしまいます。

おまけ:食べた料理を紹介

外食は無し。スーパーの食材と純粋な調味料だけで料理しています。

※食事の量は一部で写真が全てではありません。

使った調味料:塩、醤油、味噌、酒、みりん、りんご酢、バルサミコ酢、EXVオリーブオイル、ごま油、米油、マスタード、白ワイン、醤油麹、蜂蜜、(ソテーやとろみ用の)小麦粉・片栗粉少量

6/8 糖質95g(ケトン食開始前日

最後の糖質摂取は夜20時にじゃがいものガレット

6/9 糖質44g
(抑えたつもりでしたが後で計算したらオーバーしていました)

豚肉のシャルキュティエールソース(玉ねぎ、トマト、白ワイン、バター)
白菜とツナ和え
蒸し豚もやし(ごまだれ:醤油麹・酢・すりごま)
納豆豆腐キムチ
鶏肉のトマト煮(玉ねぎ、舞茸)

・6/10 糖質18g

カマンベールチーズとミックスナッツ
鶏肉のトマト煮
グラフフェッドビーフのステーキ
小松菜としらすの卵炒め
サラダ(レタス、アボカド、大豆、にんじんドレッシング、パルミジャーノチーズ)
→にんじんドレッシング:人参、玉ねぎ、オリーブオイル、りんご酢、醤油
目玉焼き
きゅうりとわかめとシラスの酢の物

・6/11 糖質22g

ゴーヤチャンプルー(ゴーヤ、豚肉、玉ねぎ、しめじ、豆腐、卵)
グラスフェッドビーフステーキ
サラダ(同上)
ミックスナッツ

・6/12 糖質18g

鯖の味噌煮とチンゲンサイ
グラスフェッドビーフステーキ
サラダ(同上)
ミックスナッツ・100%カカオチョコレート
コーヒー+ココナッツオイル

・6/13 糖質30g

にんじんと卵のしりしり
味噌きゅうり
豚肉のゴルゴンゾーラクリーム+ブロッコリー
鶏胸肉の低温調理マルゲリータ風(トマトピューレ、モッツァレラチーズ)
イカとセロリのアンチョビ炒め
ナスのバルサミコ酢マリネ
ミックスナッツ
コーヒー+ココナッツオイル

・6/14 糖質29g

豚肉のゴルゴンゾーラソース
サラダ(サニーレタス、大豆、人参ドレッシング、ブロッコリー、カマンベール、パルミジャーノ)
マグロの刺身
ナスのバルサミコ酢マリネ
鶏胸肉の低温調理マルゲリータ風

・6/15 糖質26g

サラダ(サニーレタス、大豆、人参ドレッシング、カイワレ、モッツァレラ、パルミジャーノ)
青椒肉絲
鶏もも肉の卵とじ(親子丼の米なし)
ミックスナッツ・カマンベール
コーヒー+グラスフェッドバター+ココナッツオイル

・6/16 糖質30g

ゴーヤチャンプル(ゴーヤ、豚肉、玉ねぎ、舞茸、豆腐、卵、味噌)
ハモと酢味噌(味噌+リンゴ酢)
低糖チーズケーキ(クリームチーズ、ヨーグルト、絹豆腐、卵、蜂蜜)

この記事をご覧いただきありがとうございます。

みなさまの生活がより良いものになれば幸いです。

参考書籍
夏井睦(2013)『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』光文社新書
夏井睦(2017)『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史』光文社新書
宗田哲男(2015)『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』光文社新書

コメント